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【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療

【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療

治療内容
ダイレクトボンディング
期間
1日
治療回数
1回
費用
55,000円(税込み)

ダイレクトボンディングの症例になります。

今回は患者様は、友人の歯科医師である30代男性の方の治療でした。

患者様が中学生のときに治療した、ゴールドインレーの2次的なむし歯の治療が主訴です。

近年、接着技術とコンポジットレジンの物質性状の進化しています。そのため昔は強度の問題で金属を使用するような部位にもコンポジットレジンを適用するケースが増えてきています。
今回は歯科医師の治療ということもあり、チャレンジケースとなります。理由は後ほど説明しますが、他の治療選択肢も存在するということです。

治療前の状態|【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療|自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘

治療詳細

インレーの除去|【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療|自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘

なるべくご自身の歯を削らないようにインレーを除去していきます。
次に古いセメントや、内側のむし歯の除去を行います。

ここからラバーダムを装着していきます。

クラック|【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療|自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘

拡大するとこのようになっていて、黒丸で囲った部分に縦に線が入っています。

「クラック」と呼ばれるもので、食いしばりやかみ合わせで強く噛んでいる箇所に発生します。

冒頭で「チャレンジケース」と書いたのは、クラックが入るほど力のかかる部位に対して、歯より強度の低いコンポジットレジンを用いて修復を行うケースだからです。
このクラックは、削ってインレー(マテリアルのブログ参照)にすることが多いですね。

治療後の様子

コンポジットレジン充填後の状態|【症例】インレー下の虫歯に対するダイレクトボンディング治療|自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘

コンポジットレジン充填後の状態です。
もともと着色の強い方だったため、着色具合も再現しています。

主な副作用・リスク

1.経年劣化が起こる
コンポジットレジンは、時間経過とともに変色や着色が起こります。虫歯と勘違いされることも多いですが、ほとんどが着色や変色による汚れです。充填部分を中心に、黒や茶色の模様がだんだん目立つようになります。この劣化スピードは患者さんのプラークコントロール(歯磨きのクオリティ)に、ある程度依存すると言われています。

 

2.二次カリエスのリスクがある
二次カリエスとは、虫歯治療を行った歯が、再び虫歯になることを言います。より高い接着技術により、隙間ができないようにコンポジットレジン充填をしますが、年月が経てばどうしても、天然歯と充填物の間に隙間が生じやすくなります。一度でも虫歯治療を行うと、目に見えないほどの隙間(段差)の部分に歯垢(プラーク)がたまり、虫歯になりやすくなってしまいます。

 

3.脱落や破折が起こる
強い衝撃が加わったり、接着部が劣化したりすると、コンポジットレジンが脱落や破折することがあります。噛み合わせが悪い場合も、同様のことが起きる可能性があります。

 

4.ダイレクトボンディングが適応できない部位がある
充填する材料がプラスチックなので、噛む力をもろに受ける箇所や、治療する歯の面積が広すぎる場合は、向いていません。基本的には、「小さな虫歯がある部分」「前歯の隙間や欠け」などの治療に適しています。ご自身が適応可能かどうかは、事前に担当の歯科医師とご相談ください。

治療の選択肢についてお伝えすることを大切にしています

みなさんがむし歯などの症状で歯科医院を受診されたとき、私たち歯科医師はまず、レントゲン検査やお口の中の視診を行い、その情報をもとに治療の方針を立てていきます。このとき、私たちの頭の中では最低でも2~3通り、時にはそれ以上の治療パターンが浮かび上がっているのです。

たとえば、「なるべく歯を残す方法はあるか」「どの治療が長持ちするか」「患者さんの年齢やライフスタイルに合った方法はどれか」など、あらゆる角度から検討を重ねます。さらに、セラミックや銀歯、レジン樹脂といった材料の選択肢も含めて考えるため、それぞれのメリット・デメリットをご説明しようとすると、数十分かかることも珍しくありません。

しかし、近年は材料費の高騰や人件費の上昇など、歯科医療を取り巻く環境が大きく変化してきました。その中で、保険診療のあり方や限られた診療時間の使い方について、私たちも見直しを迫られています。

そんな中で、最も削られてしまいがちなのが「患者さんとじっくり話す時間」です。もちろん、「治療後に痛みが出る可能性がある」「術後に腫れることがあるので、鎮痛薬を使ってください」といった、絶対に伝えなければならない説明は省けません。ただ、それ以上の「なぜこの治療が必要なのか」「他にどんな選択肢があるのか」「どれが自分にとって最も合っているのか」といった大切なお話が、どうしても後回しになりやすい傾向があります。

正直に申し上げると、これらの説明をしなくても治療自体は進められてしまうのです。「〇〇さんにはこの治療が一番おすすめですよ」と、一つの選択肢だけを提示するだけで、患者さんの多くは「じゃあ、それでお願いします」と答えられます。専門的な知識を持たない一般の方にとっては、歯科医師の言葉を信じるしかないのが現実です。

一見、スムーズに治療が進むように見えますし、診療時間の短縮にもなります。でも、私はここに大きな問題があると感じています。なぜなら、「患者さんと向き合って、しっかりと説明し、納得して選んでもらう時間」は、治療と同じくらい、あるいはそれ以上に大切だからです。

もちろん、処置の中には短時間で済むものもありますし、「治療が早い=腕が良い」と考える患者さんも一定数いらっしゃいます。しかし、必要なステップを省いてしまえば、確かに時間は短縮できるかもしれませんが、その分、治療の質や後々の持ちに影響が出ることもあるのです。

私は、どんなに忙しい中でも、できるだけ患者さん一人ひとりと丁寧に向き合い、治療の選択肢をしっかりお伝えすることを大切にしています。ご自身のお口の健康に関わることですから、どうか遠慮なく疑問や不安をお話しください。一緒に納得のいく治療を選んでいきましょう。

ご自身が納得できる歯科治療を行いたいと考えておられる方は、三好歯科 自由が丘へ是非ご相談ください。

 

三好歯科 自由が丘 歯科医師 望月

 

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