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【症例】ダイレクトボンディングによる歯の修復と、コンポジットレジン(CR)修復(保険診療)との違いについて

【症例】ダイレクトボンディングによる歯の修復と、コンポジットレジン(CR)修復(保険診療)との違いについて

治療内容
ダイレクトボンディング
期間
1日(90分)
治療回数
1回
費用
33,000~55,000円(税込)

治療前の状態・主訴

「ダイレクトボンディング」という治療法を聞いたことはありますか?

ダイレクトボンディングとは、虫歯を削った跡などに、コンポジットレジンというプラスチック樹脂を直接塗り重ねて接着させ、修復する治療法です。

コンポジットレジンを用いた治療は、詰め物や被せ物を入れるときほど、歯を広く削る必要がないため、削る範囲を最小限にとどめることができます。

似ている治療法として「コンポジットレジン(CR)修復」というものがあります。どちらも、治療過程で型取りをしないため、一度の来院で治療を終えられます。

コンポジットレジン(CR)修復は保険診療のため、ダイレクトボンディングより安価に治療が受けられますが、治療過程の違いにより、審美性や耐久性で比較すると劣るというデメリットもあります。詳しくは、このページ終盤の「『ダイレクトボンディング(自由診療)』と『コンポジットレジン(CR)修復』(保険診療)の違い」をご覧ください。

今回は、ダイレクトボンディングの症例を紹介するとともに、そのメリットやデメリットなどを解説します。

患者様の状態

患者様は「古い詰め物の下が黒くなっている気がする。噛むと違和感がある」と来院されました。

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治療詳細

表面麻酔そして浸潤麻酔を行い、拡大視野(高倍率ルーペ)の中、侵襲範囲を最小限にとどめて虫歯を除去しました。

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次に、歯にラバーダム(※)をかけて、隙間を緩衝材で埋めました。また、歯面に付着した歯垢(プラーク)の除去も行います。

(※)ラバーダムとは
ゴム製のシートで、主に根管治療の際に患歯部以外を覆うものです。細菌を含んだ唾液が患部に流入して細菌感染することを防ぐ、そして湿度を下げる目的で使います。

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ラバーダムにより、口腔内の湿度を低く保った状態で、前処置と接着処理を行い、コンポジットレジンによる修復を行いました。このとき、複数の色・種類のコンポジットレジンの充填を、何回か行うことで、天然歯に存在する豊隆や形態、色調の再現も丁寧に行うことができます。

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コンポジットレジンの充填処置が完了したところでラバーダムを取り除き、反対の歯と噛み合わせて、歯が過剰に高いところがないかチェックをします。

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※乾燥により一時的に歯が白濁しています

問題ないことを確認して、歯の段差等をすべて取り除き、研磨を行いました。

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※歯に見える赤い印は、噛み合わせを確認するための咬合紙の色です。確認後、拭き取っています。

治療後の様子

もともとあった違和感もなくなり、患者様は大変満足されています。

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1週間後の様子。歯に水分が戻り、コンポジットレジンが歯に馴染んでいます

主な副作用・リスク

1.経年劣化が起こる
コンポジットレジンは、時間経過とともに変色や着色が起こります。虫歯と勘違いされることも多いですが、ほとんどが着色や変色による汚れです。充填部分を中心に、黒や茶色の模様がだんだん目立つようになります。この劣化スピードは患者さんのプラークコントロール(歯磨きのクオリティ)に、ある程度依存すると言われています。

2.二次カリエスのリスクがある
二次カリエスとは、虫歯治療を行った歯が、再び虫歯になることを言います。より高い接着技術により、隙間ができないようにコンポジットレジン充填をしますが、年月が経てばどうしても、天然歯と充填物の間に隙間が生じやすくなります。一度でも虫歯治療を行うと、目に見えないほどの隙間(段差)の部分に歯垢(プラーク)がたまり、虫歯になりやすくなってしまいます。

3.脱落や破折が起こる
強い衝撃が加わったり、接着部が劣化したりすると、コンポジットレジンが脱落や破折することがあります。噛み合わせが悪い場合も、同様のことが起きる可能性があります。

4.ダイレクトボンディングが適応できない部位がある
充填する材料がプラスチックなので、噛む力をもろに受ける箇所や、治療する歯の面積が広すぎる場合は、向いていません。基本的には、「小さな虫歯がある部分」「前歯の隙間や欠け」などの治療に適しています。ご自身が適応可能かどうかは、事前に担当の歯科医師とご相談ください。

<「ダイレクトボンディング」(自由診療)は「コンポジットレジン(CR)修復」(保険診療)より手間がかかる分、予後は良好>

大切なのは「正しい接着環境の整備」と「適切な接着操作」

ダイレクトボンディングを語る上で重要なのが「接着」です。

ここ数年、歯科界では「接着」という言葉がトレンドになっています。「接着」とは読んで字のごとく、違う物同士をくっつけることです。

なぜ、接着が重要なのか。それは、歯と充填物の接着が十分でないと、充填物が脱落・破折しやすくなったり、接着面に隙間ができて、そこから二次カリエスが発生するなど、患者様にさまざまなリスクが起こるからです。

近年、接着技術の進化によって、下記2つの状態を満たすことが容易になり、従来よりも強固な接着を得られるようになりました。

①正しい接着環境の整備
②適切な接着操作

①正しい接着環境の整備
1.治療部位への唾液の侵入防止、2.プラーク(歯垢)の除去、3.呼気中の湿度のコントロールの、3つが鍵になります。これらを達成するために必要なのは、ずばり「ラバーダム防湿」です。

※どうしてもラバーダムが使用できない場合は、他の特殊な防湿器具を使用することもあります。

ラバーダム防湿に関しては過去のブログをご覧ください。
ラバーダムはメリットが多いのに日本の歯医者で使用率が低いのはなぜか|ブログ|三好歯科 自由が丘

②「適切な接着操作」
より効果的に接着できるよう、治療前の歯にひと手間加えたり、より強固接着剤を“適切な時間・方法”で使用したりすることにで、適切な接着力が得られます。これらを「前処置」と呼びます。

「ダイレクトボンディング」(自由診療)と「コンポジットレジン(CR)修復」(保険診療)の違い

ここで、「ダイレクトボンディング」(自由診療)と、「コンポジットレジン(CR)修復」(保険診療)の治療の違いをお話します。

今回、私が特に伝えたいのは、ダイレクトボンディングとコンポジットレジン(CR)修復では「治療にかけられる時間と手間がまったく異なる」ということです。

ダイレクトボンディングは自由診療で、時間と手間をかけられるため、先ほどお話しした①「正しい接着環境の整備」②「適切な接着操作」が得られ、長期的な予後もまったく変わってきます。

ほかにも違いはありますが、今回は詳細を割愛させて戴きます。ざっくりとではありますが、下記の図をご覧ください。

 

 

コンポジットレジン(CR)修復
※保険診療

ダイレクトボンディング
※自由診療

強度

色調再現性

防湿

簡易防湿

ラバーダム防湿※

形態付与

適合

△〜○

治療回数、時間

1回  30分以内
(歯 1本〜数本)

1回 60〜90分
(歯1本〜数本)

経年劣化

歯質削除量

※どうしても使用できない場合は、ほかの特殊な防湿器具を使用することもあります

ダイレクトボンディングの審美性については、歯1本の治療にかけられる時間が多くなるので、うまく色が合えば、他の歯との見分けがつかないほどにまで再現性を高められます。審美性を意識する患者様は多いですが、できるだけご希望に沿うには、とにかく①「正しい接着環境の整備」と、②「適切な接着操作」が大事です。

また、ダイレクトボンディングの場合は、保険適用外のコンポジットレジンも使用できるため、色調の再現性がより上がります。

経年劣化に関しては、詰めるものがレジン(プラスチック)である以上、より強固なセラミックなどには劣ります。しかし①「正しい接着環境の整備」と②「適切な接着操作」を満たすことにより、保険診療のコンポジットレジン(CR)修復と比べて、相対的に長く保たせることが可能です。ただ、こればかりは患者様の口腔環境や歯の削除量によって一概には言えないので、比較が難しいです。

なお、ダイレクトボンディングは、噛む力が強い箇所や、広い面積の治療には適していません。小さな虫歯がある箇所や、前歯の隙間・欠けなどに向いています。そのため、適応症例は保険診療のコンポジットレジン(CR)修復と基本的に同じです。

詳しくは下記のブログをご覧ください。
歯の詰め物の素材(マテリアル)とそのメリット・デメリット 2021年最新版|ブログ|三好歯科 自由が丘

患者様のために“一療入魂”を

どの歯科医師も日々、保険診療の中で「本当はこう治療したい」「この治療をしたほうが患者様のためになる」と思いつつ、診療していることが多いと思います。

ラバーダム防湿をしたり、前処置をしたりといった、複雑な工程と技術が求められるダイレクトボンディング。“一球入魂”ならぬ“一療入魂”のような治療は、残念ながら保険診療の制度上、行うことが難しいのが現実です。今後は、このような制限からの脱却という形で、ダイレクトボンディングのような治療が、もっと浸透してほしいと切に願っています。

ダイレクトボンディングにご興味がある方、虫歯が気になる方は、自由が丘の歯医者、三好歯科 自由が丘へご相談ください。

 

下記ページも併せてご覧ください。
三好歯科 自由が丘|診療メニュー|補綴歯科
三好歯科 自由が丘|診療メニュー|う蝕(虫歯)治療