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<セレック編>歯医者さんがあまり話さないホントの話

<セレック編>歯医者さんがあまり話さないホントの話

こんにちは、三好歯科 自由が丘 院長の三好健太郎です。

今回は、歯科医師があまり触れない内容に、ザクッと斬り込んでお話ししていきます。

お時間のない方は、後半の★マーク「セレック」とは?セラミックと違う?から読んでみてください。

 

虫歯になるかどうかを左右するのは、「金属か白い詰め物か」ではない

「銀歯は虫歯になる、白い詰め物が良い」という噂を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは誤りです。

虫歯になるか、ならないかで最も大切なのは、被せ物・詰め物の素材ではなく「適合(クオリティ)」です。

また、詰め物・被せ物の材料として「セラミック」や「ジルコニア」などのメタルフリー素材(白い詰め物・被せ物)を扱っている歯科医院は多いですが、同じ名称でも歯科医院ごとに、そのクオリティはまったく違います。

 

歯科金属は必ずしも“悪”ではない

「メタルフリーの材料は、金属より適合がよく虫歯になりづらい」

これは厳密には間違っています。
当院に通ってくださっている患者さんにはお話していますが、金属は皆さんが思っているほど悪いものではありません

私は今まで、「私は金属アレルギーです」と言う患者さんにたくさん出会ってきましたが、歯科材料の金属が原因となるアレルギー症状は、一度も見たことがありません。中には「私は金属アレルギーです」とおっしゃっているのに、口の中が金属の詰め物だらけでも、特に問題が起きていないという方も少なくありません。

確かにパラジウムなどの金属は、全身的な問題を起こす可能性はあります。全国規模で見ればアレルギー発生事例はもちろんありますし、掌蹠膿疱症などの重い疾患が歯科金属に起因した例も稀にあります。

 

三好歯科 自由が丘|ブログ|歯医者さんがあまり話さないホントの話<セレック編>|銀歯の画像

 

話が逸れましたが、詰め物や被せ物を入れた後、再び虫歯になる(2次カリエス)か否かは、「詰め物、被せ物の適合が高い精度で合っているか」が、かなり重要になってきます。もちろん歯磨きや生活習慣も大切な要素ですが、詰め物や被せ物が不適合であれば問答無用で非常に虫歯になりやすいです。

 

詰め物・被せ物の適合を良くするには?

適合性の高い詰め物や被せ物を作るには、以下のポイントが重要です。

・型取りにいたるまでの歯周組織のマネージメントをしっかり行う。
(歯の治療においても、歯茎はとても大切です)
・歯の設計(削る量や形)、材料ごとに異なる型取り方法(アナログとデジタル)、チョイスを適切に行う。
・そうして様々なこだわりをもって採得した型取り情報(スキャンならデータ)を、信頼できる歯科技工士さんへ渡して技工物を作製してもらう。

詰め物や被せ物を作製する歯科技工士さんには、私たち歯科医師と同じくらい大切な役割があります

「3Dスキャン・プリンターを使うなら、狂いがないのでは?」と思うかもしれませんが、そういう訳ではありません。どんな材料で作るかによって使い分ける必要がありますし、やはり歯科技工士さんの高い技術力が必要です。

そこまでこだわり抜いて初めて、適合の良い詰め物・被せ物が出来上がります。もはや材料が金属なのかメタルフリーなのかなど、関係ありません。

 

三好歯科 自由が丘|ブログ|歯医者さんがあまり話さないホントの話<セレック編>|歯磨きをする女性の画像

 

ですから、冒頭でもお伝えしましたが、詰め物・被せ物を入れた歯が虫歯になるか否かは「銀歯か、白い詰め物か」ではなく、「被せ物・詰め物の適合」が鍵を握っています。さらに、患者さんご自身の歯磨きのクオリティが高ければ、虫歯をより防ぐことが可能です。

 

★「セレック」とは?セラミックと違う?

ここからが今回、一番お話ししたかったことです。

皆さんは「セレック」という言葉を聞いたことがありますか?
数年前、ネット上で「セラミック=セレック」という誤った解釈によるためか「歯を治すならセレックが良い」という噂が広がりました。

しかし「セレック」は「セラミック」のことではありません。

「セレック」とは、とある会社が出した「CADCAM(※)によって、セラミックの詰め物・被せ物を歯科医院の中で作れる」ことを売りにした、システムの商品名です。

(※)CADCAMとは
コンピューターを用いて設計・生産をするシステムの総称で、歯科以外でもあらゆる業界で用いられています。歯科では「CADCAM冠」「CADCAMインレー」なども、このシステムで作られています。詳しくは下記コラムをご覧ください。

三好歯科 自由が丘|ブログ|2022年4月から保険適用「CADCAMインレーについて」

歯科技工士さんが持っているようなシステムは、大きな機材で高額なので、スペースが狭い都市部などの歯科医院には、なかなか置くことができません。しかしセレックは比較的小型で安価なので、さほど広くない歯科医院にも設置することができます。

 

三好歯科 自由が丘|ブログ|歯医者さんがあまり話さないホントの話<セレック編>|歯を見せる女性の画像

 

★「セレック」のメリット・デメリット

セレックの登場で、下記3点が事実上、可能になりました。

・早ければ1日で治療が完了する(ワンデイトリートメント)
・歯科技工士さんを介さず、白いセラミックで詰め物・被せ物が作れる
・経費があまりかからないため安価

その代わり、虫歯になるか否かでもっとも重要な「適合(クオリティ)」は劣ります

私自身、歯科技工士さんのもとでセレックのサンプルを作製したり、当院にいらっしゃった患者さんの、口腔内のセレックによるセラミックを数多く見たりしてきました。

しかし、ほとんどの場合、歯と詰め物の間に隙間があるので、接着剤で埋める処置が必要でした。さらに、接着剤はどうしても溶けていくものなので、将来的にその隙間から2次カリエスになるリスクが、非常に高いです。

治療の質より、「通院をやめたい」「治療は安くて早ければいい」「白い歯なら何でもいい」という方にはマッチするかもしれませんが、私はあまりおすすめできません。そのため、三好歯科 自由が丘ではセレックを採用しておらず、現時点では取り入れる予定もございません。

 

三好歯科 自由が丘|ブログ|歯医者さんがあまり話さないホントの話<セレック編>|虫歯が痛む女性の画像

 

三好歯科 自由が丘は、治療のクオリティを重視

被せもの、詰め物を入れるに際しては、正確な情報を採得する歯科医師とその情報を元に形や色、咬合、様々な要素を考え歯を作製する歯科技工士、この両者が日頃から密に連携を取り合う事で良い治療は成り立ちます。

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘では、患者さんそれぞれに合った歯科材料や、最善の型取り方法にこだわり、常にクオリティを大切にしております。

そして歯科技工士さんは、型取りや採得したデータから、機能美と審美性を併せ持つ“芸術品”ともいえる歯を作り出します。

三好歯科 自由が丘は、私が尊敬している日本有数の歯科技工士とチームを組み、患者さんごとに最適な詰め物・被せ物をご提供できるよう、日々研鑽しております。

治療のご説明だけでも、平均の倍以上のお時間をいただくことが多いため、セレックのようにワンデイトリートメントで行うのは難しいです。
また、使用する素材にたとえ「セラミック」という名称が使われていても、その内容やクオリティは驚くほど差があるのです。
出来上がった詰め物・被せ物の精度の違いは、一見わからないかもしれません。しかしわからないレベルでこだわるからこそ、治療全体のクオリティが上がると考えております。

 

歯医者さんがあまり話さない本当の話、いかがでしたか?

こういった話は、セレックだけではありません。
今後はこのような切り口のコラムも書いていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

こちらのページもご参照ください。

三好歯科 自由が丘|診療メニュー|補綴歯科
三好歯科 自由が丘|ブログ|歯の詰め物の素材(マテリアル)とそのメリット・デメリット2021年最新版