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【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療

【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療

治療内容
様々な原因による歯質の白濁(ホワイトスポット)に対してのICON治療
期間
1日(1時間)
治療回数
1回
費用
88,000円(税込)
(通常は歯数、範囲により22,000円から88,000円の間で変動あり)

治療前の状態・主訴

今回の患者様は、『歯の全体的な黄ばみと、ところどころの白濁が気になる』という主訴で来院されました。初診時点では白濁よりも全体的な黄ばみが主訴でしたのでオフィスホワイトニングを行いました。
下記の写真は最終ホワイトニング直後の口腔内写真になります。

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘|ブログ|【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療|治療前1

上記の写真でお気づきになるかと思いますが、上の歯の先端あたりを中心に一部の歯が白色に変化しています。
この白色変化をホワイトスポット病変(White spot lesion)と言います。
ホワイトスポットは進行性の虫歯ではありませんので、その多くは治療の必要はありません。審美的な問題を解決したい場合が治療の対象になります。

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘|ブログ|【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療|治療前2

先の写真はかなりインパクトがありましたが、このホワイトスポットは歯が乾燥するとより強調されるので湿潤状態では実際にはこのくらいの白さです。

今回はこのホワイトスポット病変(White spot lesion)による審美障害に対する新しい治療方法であるICON治療の紹介になります。

治療詳細

治療当日の口腔内写真です。やはり、前歯を中心とした白色変化が目立ちます。

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘|ブログ|【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療|治療詳細1

ICON治療は強力な薬剤を使用するので下の写真のようにラバーダム防湿(※)の使用が推奨されます。

(※)ラバーダム防湿とは、治療する歯のみをゴムのシートで隔離し、唾液や浸出液などの細菌が入らないようにしたり、器具の誤飲などを防ぐために行う治療方法です。

詳しくは下記をご覧ください。
ラバーダムはメリットが多いのに日本の歯医者で使用率が低いのはなぜか|ブログ|三好歯科 自由が丘

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘|ブログ|【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療|治療詳細2

ラバーダム防湿を行った後、ICON治療を行います。この施術時間は40分前後になります。

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術直後の写真になります。歯が乾燥により全体的に白濁していますが、口腔内の水分に触れることにより徐々に戻っていきます。ラバーダム除去後、必要に応じて歯の研磨を行うこともあります。

治療後の様子

治療後、ラバーダム除去後の写真です。白色変化がなくなっていることが確認できるかと思います。

自由が丘の歯医者 三好歯科 自由が丘|ブログ|【症例】ホワイトスポット病変に対するICON治療|治療後

見た目の印象が大きく改善され、患者様にも大変ご満足いただけました。                                                   
ホワイトスポットの治療にはいくつかの方法がありますが、この治療法の最大の特徴は『歯を削らずに治療できる』ことです。
ここで、本症例のようなホワイトスポットの原因とその治療についていくつか紹介させていただきます。

ホワイトスポットの原因

1う蝕(むし歯)
初期う蝕(初期虫歯)によるホワイトスポット の特徴は「表層下脱灰」と言われる現象です。虫歯菌が作り出す酸によって歯のリンやカルシウムが溶け出すことを脱灰といいます。これが虫歯の始まりですが、初期の虫歯では脱灰は生じていてもまだ穴はあいていません。歯の内部のみが溶けていくのです。この状態が「表層下脱灰」です。表層下脱灰が生じている部分は、脱灰によって細かい空洞がたくさんできていて軽石のようになっています。この部分に光が当たると健全な部分とは光の屈折率や透過性が違うので白く見えます。

2フッ素の過剰摂取
生後6ヶ月から5歳くらいまでの歯の発生期に過剰のフッ素を摂取すると、歯の表面に白や茶色の斑点ができることがあります。これは歯牙フッ素症(斑状歯)と呼ばれるものですが、水道水のフッ素含有量の少ない我が国ではほとんど生じることはありません。なお、歯牙フッ素症はフッ素を飲み込むことにより生じるもので、フッ素塗布では生じません。

3その他の原因
乳歯に外傷や感染が起こるとその下に待機している永久歯に影響を与え、ホワイトスポットが生じることがあります。また、生まれて間もない頃にかかった病気や栄養障害、遺伝などが原因で歯の表面のエナメル質が正しく作られなかったことにより、その部分がホワイトスポットになることがあります。これらはすべて「エナメル質形成不全」と呼ばれます。エナメル質形成不全は虫歯ではありませんので脱灰は生じていません。エナメル質が正しく作られなかったためにその部分だけ結晶構造が乱れ、健全な部分とは光の屈折率や透過性が違うので白く見えるのです。エナメル質形成不全では、その部分が茶色くなることも多く、その場合は「ブラウンスポット」と呼ばれます。

ホワイトスポットの治療法

1 コンポジットレジン治療
ホワイトスポットの部分を削ってその部分に白い詰め物をします。最も一般的な治療法ですが、歯を削る必要があります。そのうえ、詰めた部分を目立たなくするためには、ホワイトスポットの周囲の歯もかなり削る必要があります。車の板金塗装に似ています。詰めた材料には経年的に着色や変色、摩耗が生じますので、何年かに一度やり替える必要があります。最も一般的な治療法ではありますが、見た目を改善するために医学的には削る必要がない歯を削ってしまう治療であることを忘れてはなりません。

2 ラミネートベニア治療
歯の表面全体に薄いシェルのようなものを貼り付ける治療です。仕上がりはきれいですが、歯の表面を薄く削る必要があります。

3 I C O N(低粘度レジン浸透法)治療
これはホワイトスポットを含めた歯の表面全体に浸透性の高い樹脂を浸み込ませる現在最もホットな治療法です。ドイツのDMG社が20年以上の歳月をかけて開発したICONという製品を使用します。歯をほとんど削らずに歯の内部に浸透しやすい特殊な樹脂を浸み込ませてホワイトスポット内部を均質な状態にします。歯全体に樹脂が浸透した状態になりますので、虫歯になりにくくなるという効果もあります。歯はほとんど削らないので、ホワイトスポットが完全に消えるわけではありませんが、ほとんど目立たない状態にすることができます。初期う蝕によるホワイトスポットが適応ですが、先天的なエナメル質形成不全にも適応できるケースもあります。

主な副作用・リスク

1.現状の歯の色調が変化することがあります
2.薬剤による歯肉の痛みが出現することがあります。
3.知覚過敏になる可能性があります。
4.完全に見えなくなる訳ではないので、患者様の思うような結果を得られない可能性があります。
5.治療前の状態に戻ってしまう可能性(最新の治療になりますので長期予後を追ったデータがありません)があります。

<ホワイトスポットは新しい技術により歯を削らずに治療する選択肢もあります>

ICONを使用した治療はまだ確立はされていないこともあり、テクニックに大きく左右される面もあります。全く改善しなかったり、治療後にかえって目立つようになった例もたくさんあります。成功させるためには歯の解剖学的、組織学的な構造の深い知識、その知識によるマニュアルにはないさまざまな工夫が必要です。当院では本症例のようにできる限り患者様のご要望に沿うために、こういった新しい治療法の選択肢についても提示させていただいております。
ホワイトスポットの治療は、最近まではどの治療法も歯の切削を伴うものでしたが、ICONのような歯をほとんど削らない画期的な治療法を最初に行うことを強くお勧めします。

ICON治療にご興味がある方、歯の黄ばみや白色変化が気になる方は、自由が丘の歯医者、三好歯科 自由が丘へご相談ください。

こちらも併せてご覧ください。
歯科治療前のカウンセリング・診査・診断の重要性|ブログ|三好歯科 自由が丘