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虫歯に関するよくある質問 Q&A 『虫歯学』その2

虫歯に関するよくある質問 Q&A 『虫歯学』その2

こんにちは、三好歯科 自由が丘 院長の三好です。

前回に引き続き、虫歯(う蝕・カリエス)について書いていきたいと思います。

※前回のコラム「虫歯になる時、お口の中はどうなっている?『虫歯学』その1」


虫歯の原因は脱灰と再石灰化のアンバランス

 

前回は非常に難しい話をしました。歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返しており、様々な理由からそのバランスが崩れて脱灰の時間が長くなる or 脱灰の頻度が多くなると虫歯(う蝕・カリエス)になる、という話でした。

虫歯予防や歯磨きの疑問についてお答えします

今回は、皆様からよく頂く虫歯に関する疑問・質問をQ&A方式にて記載していきます。

 

Q .歯に冷たいものが染みます。虫歯でしょうか?

A一概に虫歯とは言えません。

歯が染みるのは『知覚過敏』という症状によるもので、実際には虫歯ではない人の方が多いです。

しかし、本当に虫歯で冷たいものが染みたり、歯に痛みが出たりしているならば、虫歯がかなり進行していると思われます。今回は説明を割愛しますが、虫歯はそれなりに進行しないと痛みがほとんど出ません。

いずれにせよ、一度歯科医院で確認されることをオススメ致します。

 

Q.虫歯があったけど「削らなくて良い」と言われました。虫歯は小さいうちに治したほうが良いのではないでしょうか?

A.結論から申し上げると、削らないで様子を見たほうが良い虫歯はたくさん存在します。

パターンとして主に次の2つがあります。
1.歯の表面の色などが変わっているが、穴(う窩)が空いていない(虫歯が中まで進行していない)場合
2.穴が空いているが非常に小さく、治療の際に健康な歯の方を多く削る場合

特に1の場合は、削る必要性がほぼ無いと思います。歯の再石灰化により、色などの見た目が完全に元に戻るケースもあります。

2は歯科医師によって考え方が異なります。先生ごとに、意見も治す材料も異なる場合があるので一概には言えません。主治医の先生とよくお話をして、気になるようでしたら別の歯科医院にセカンドオピニオンを聞きに行く、という選択肢も良いかと思います。

三好歯科 自由が丘0724虫歯のQ&A_1

Q.自費診療で虫歯を削らないで治す方法があると聞きましたが、どのようなものですか?

A.『ドッグベストセメント』と呼ばれる薬剤を使う方法です。

虫歯を完全に取りきると神経まで到達してしまうという場合、あえて虫歯の一部を残してその上にドッグベストセメントや薬剤を置いて虫歯菌を無菌化させる、というコンセプトのものです。

これは昔からある方法です。『ドックベストセメント』には抗菌力のある鉄イオンと銅イオンが配合されて複数のミネラルも含まれており、虫歯の上に置く薬剤の中でも比較的新しいものです。

たまに「虫歯を削らないでドッグベストセメントのみで治せる」と思っていらっしゃる方がいますが、魔法のお薬ではありませんのでそれは不可能です。ドックベストセメントを用いたとしても、後から痛みが出てきたり、神経が死んでしまったりすることもあります。

『ドックベストセメント』の使用に関しては、歯科医師によって意見が大きく異なるため、主治医への相談が必要です。なお、比較的エビデンスが乏しいため当院では使用しておりません。

 

Q.歯磨きは1日何回するのが良いですか?

A.1日2回磨いて頂ければOKです。

研究によると、1回より2回のほうが良いとされており、2回と3回以上ではそこまでの差は認められておりません。もちろん歯を磨くことは悪いことではありませんので、3回以上磨いて頂いても問題はありません。

歯磨きは1日2回以上!

大切なことは次の2点です。
・2回のうち1回は就寝前に丁寧に行うこと
・歯磨き自体のクオリティを高めること(磨けていない部分を限りなく少なくする)

 

Q.食事の直後に歯磨きをすると歯が削れると聞きましたが、本当ですか…?

A.酸性の強い食べ物や飲み物を摂った後30分以内に歯磨きをすると削れる歯の量が多くなる、というデータは確かにあります。

酸性の強い食べ物は、レモンやみかんなどの柑橘類、炭酸系の清涼飲料水、ビールや赤ワインなどが該当します。

食事の直後に就寝等をしないのであれば、食後30分~60分ほどあけて歯磨きをする方が、データ上は良いとされております。しかし個人的には、酸性の強い食べ物や飲み物が好きで習慣的に摂っている方でなければ、そこまで神経質になる問題では無いかと思います。

 

Q.電動歯ブラシの効果は手用歯ブラシと比べてどうですか?

A.今のところ、その方の歯磨きのクオリティ次第のため有意な差はないと言われております。

しかし、「手が疲れたから歯磨きをやめてしまう」という方もおりますので、人によっては電動歯ブラシを使用することで、歯磨きの仕上がりが劇的に良くなるケースもあります。

逆に電動歯ブラシの不適切な使用により、歯や歯肉を傷つけてしまう方もいらっしゃいます。

 

Q.フロスや歯間ブラシなどの清掃補助器具は必要ですか?

A.必要です。理由は主に2つです。

・歯ブラシが当たらない部分のバイオフィルム(※)を除去するため
・加齢で歯肉等が下がって、根が露出した部分を効果的に掃除するため

※バイオフィルムとは:様々な菌が集まって歯の表面に付着した膜

通常の歯磨きだけでは、口内の汚れを落とし切るには限界があります。一番丁寧に歯磨きをして頂きたい就寝前だけでも、ぜひフロスや歯間ブラシを使用して頂きたいと思います。

しかし、サイズの合わない歯間ブラシの使用や、過度な力でのフロスの使用は歯肉が下がる原因になることもあります。必ずかかりつけ医院の歯科医師や歯科衛生士に指示を仰ぎましょう。

 

三好歯科 自由が丘0724虫歯のQ&A_2

Q.フッ素は虫歯予防に効果があるのでしょうか?どのような役割がありますか?

A.フッ素は虫歯予防に非常に効果的です。役割については前回のコラムでお話した『ph』が関わってきます。

phは水素イオン指数と呼ばれ、酸性やアルカリ性の度合いを表すものです。
口腔内は通常は中性もしくは中性に近い値ph7を保っていますが、飲食により酸性に傾き、ph6、ph5…と数値が小さくなります。そして臨界phと呼ばれる値(エナメル質で約ph5.5)を下回ると、エナメル質など歯の表面が溶けていく『脱灰』が始まります。

裏を返すと、臨界phを下回る前まで、歯は『再石灰化』を行っているということになります。再石灰化は歯の表面を回復させ、正常な状態へ戻す自然の能力です。

フッ素は、簡単に言うなら臨界phの値を下げてくれる機能があります(エナメル質の臨界phを、約ph5.5→約ph4.5へ下げるなど)。例えば飲食をして口腔内がph5.5まで下がった場合、本来ならエナメル質が溶けて脱灰してしまいますが、フッ素を使用していると臨界phは4.5なので、まだ再石灰化の状態を保っています。

フッ素はお子様や口腔乾燥症の方、健康な一般成人の方まで幅広く使用できるものと言えるでしょう。歯磨き粉にはぜひ、フッ素配合のものを使用していただきたいと思います。
日本で市販されている歯磨き粉はフッ素濃度1500ppmが最大値ですが、1500ppmはそこまで高濃度ではありません。しかし、お子様が誤飲をするとフッ素中毒などの危険があるため、取り扱いにご注意ください。

使用に際してですが、フッ素は歯の表面に長く置いておくことで、効果がより上がります。そのため、歯磨き後に口をすすぐのは『軽く一回程度』にしてください。また、お子様が使用される場合、ご年齢によってはフッ素濃度が低いものから使い始めていくことがほとんどのため、一度歯科医院にご相談してみてください。

 

Q.キシリトールは砂糖と同じ“糖”なのに虫歯予防になると有名ですが、なぜでしょうか?

A.キシリトールに代表される糖アルコールは糖と名前がついていますが、通常の糖とは全く別物です。

糖アルコールはカロリーオフと謳われる食品などにも使用される人工甘味料です。細菌は糖アルコールをエサにすることはできますが、そこから酸を作り出すことがほとんどできません。そのため、phが若干酸性に傾くだけで臨界phにはまず到達しません。

また、ガムを咬むという咀嚼行為で唾液分泌が促進されるため、唾液の力でphを中性に戻しやすくなります。

総合して「キシリトールが原因では虫歯にならない、なおかつ虫歯予防になる」と言えるでしょう。ただし、中にはキシリトールと通常の糖が混ざった製品もあり、これは虫歯のリスクが十分高いので注意が必要です。歯科医院で販売しているような100%キシリトールの製品なら安心と言えるでしょう。

ちなみに当院が使用しているパウダークリーニング(エアフロー)の粉にはエリスリトールという糖アルコールの一種が含まれています。その粉が歯周ポケットに残留している間は、持続的な虫歯予防効果があります。粉は水溶性のため歯周ポケット内で溶けて消えますし、誤嚥により肺に入ってしまっても安心です。

 

Q.「コーラなどの炭酸は歯を溶かす」と聞きましたが本当でしょうか?

A.事実です。

これまでphの話を多くしてきましたが、コーラなどの炭酸飲料は約ph2.5、ワインは約ph3.0、レモンは約ph2.5など、日常にはエナメル質の臨界ph5.5を軽く超える食品が溢れております。

いかに唾液による中和と再石灰化が大切かということです。

習慣的に、歯に強酸性の飲食物や嘔吐物などが接触し続けることは、歯にとってはかなりのダメージです。虫歯ではなく口腔内の酸性が続くことで歯が溶けてしまうことを『酸蝕症』と呼びます。酸蝕症の方は口腔内の細菌が酸を好む細菌有利の状態となり、酸を苦手とする細菌は量が減ってしまいます。そのため、より酸を産生しやすい環境=虫歯になりやすい環境になっております。

これを予防するには、飲み物を飲むときはストローを用いて、歯に直接触れることを可能な限り少なくするしか方法はありません。しかし、短期間に歯が溶けてしまうわけではありませんので、過度な偏食や嘔吐癖がなく、一般的な食生活を送る方であれば、気にせず過ごしていただいて問題ありません。

 

現在の歯の状況や歯磨き方法の確認なら三好歯科 自由が丘へ

いかがでしたでしょうか?

虫歯(う蝕・カリエス)1つとっても非常にたくさんの情報があります。私が今回記載したものも、全てが正しいかは厳密にはわかりません。カリオロジー含め医学の世界は日々研究・議論がなされ、ついこの間まで常識だったことが覆ることもあります。
ここに記載した多くのことは、今のところ事実の可能性が高い事象ばかりです。

歯で何か気になることがある、久しく歯科医院へ行っていない、という方はぜひ一度、当院で現在の歯の状況や歯磨きの仕方を確認してみましょう。

 

当院の「予防歯科・歯のクリーニング」のページも是非ご覧ください。
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