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小児歯科におけるう蝕(虫歯)治療の問題点・歯医者に慣れることの大切さ

小児歯科におけるう蝕(虫歯)治療の問題点・歯医者に慣れることの大切さ

こんにちは、三好歯科 自由が丘 院長の三好健太郎です。
気づけばもうクリスマスですね。いかがおごしでしょうか?

まだ開院して一ヶ月経過しておりませんが、おかげさまで親子でのご来院やご家族での検診希望などたくさんの方にご来院いただいております。

そこで今日はお子様の歯に関する事、すなわち「小児歯科」について書かせていただきます。

親御様は皆、『自分の子には歯で苦労させたくない』と思ってらっしゃいます。
しかし、多忙な毎日の中、口を触ろうとすると泣いてしまったり嫌がるお子様に歯ブラシをしてあげたり、口の中の状態を見ようとすることは本当に大変ですよね。

正直、親御様自身もちろん、お子様も歯を痛がる様子がないから・・・と歯科検診等が蔑ろになるケースはたくさんあります。
かなり多くのご夫婦が共働きである今の日本の社会の現状を考えても、何も歯に症状がないのに歯医者に行くことが優先されないのはある程度は仕方がないことかと思います。

しかし、お子様の歯にう蝕(虫歯)が出来てしまうと・・・成人よりはるかに厄介です。
治療における問題点は大きく3点あります。順番にご説明いたします。

お子様の歯にう蝕(虫歯)ができてしまった際の小児歯科治療の問題点

問題点1 お子様が歯科治療を嫌がる、歯医者に連れて行くのが大変

当たり前の話ですがお子様は大人のようには振る舞えません。
泣き叫ぶ、特に暴れてしまうお子様は治療自体が危険なので基本的に治療が出来ません。
大学病院や一部の医院では体を拘束する器具(レストレイナーなど)もありますが、
三好歯科 自由が丘では小児歯科においてこの器具を用いてまで治療は致しません。
理由として、歯科は怖いこと痛いことをされるところと教育してしまっているのと変わらないからです。
お子様は思っている以上に小さい時に刻まれたトラウマなどを潜在的に記憶しております。
こういう治療を行えば、今の日本人の多くが持っている『歯医者は怖い、痛い、行きたくない』というイメージを植え付けてしまいかねません。
そのお子様が成長しても、親になっても、結局そのままの歯医者に対するスタイルが次の世代へ引き継がれてしまいます。
これから日本で変えていかねばならないこの歯医者へのネガティブなイメージを、未来のあるお子様に与えることはできません。
三好歯科 自由が丘の提唱する「スウェーデン式予防歯科」の根本的な考え方『痛くなくても普段から当たり前のように通っておくところ』という概念と真逆になってしまいます。

しかし、実際にお子様の歯が治療が必要な状態で、しかも治療が困難は状況になってしまったらどうすれば良いのか?
当院ではお子様の状態を拝見して状況次第では歯科治療を行いますが、
難しい場合は連携している医療機関へご紹介いたします。

問題点2 歯科治療自体のクオリティを保てない

我々歯科医師は治療に常に全力を尽くします。
その上で様々な要素が大切になりますが『治療される歯の環境を整える』事が非常に重要になります。
例えば、根管治療なら『ラバーダム防湿』、型取りをするなら『歯周病のケアで歯肉の状態を安定させる』など、様々な歯や口腔内の環境を整えた上で治療に臨まなければなりません。

しかし、大人ですら辛いと思うような歯科治療のために長時間お口を開けたままに保つなど、お子様にはハードルが高いことばかりです。
唾液も多く、口を開けていても大人ほどじっとしていられる子などほとんどおりません。
使用できる治療器具なども大人より遥かに制約を受けます。

我々歯科医に求められている小児歯科の治療での重要ポイントはスピードです。
歯科治療の質を保ちつつ治療スピードを上げることを日々努力していますが、基本的にスピードと質は反比例します。

臨機応変と言えば聞こえは良いですが、やはり成人の歯科治療より小児の歯科治療は質が落ちてしまう事が多いのが現実です。
歯科治療の質が落ちれば再感染につながりやすく再びう蝕(虫歯)も出来やすいですし、再治療になってしまう可能性も高くなります。

よく小児歯科のう蝕(虫歯)治療で登場するレジン(白い樹脂の材料)と言われる素材があります。
小児のう蝕(虫歯)治療でレジンが重宝される理由として
「型取りなどをしなくて済む」「一回で治療が終わる」などがありますが、レジンは唾液や血液などの水分に非常に弱く、物性的にもそこまで強いものではありません。

お子様は唾液も多く、歯ブラシのクオリティも成人ほど高くないことが殆どです。
治療中、歯肉からの出血もよくあります。
そのなかで、部位にもよりますが口腔内の水分を完全に断った状態でレジンを詰めていくことは非常に困難です。
とりあえず詰まっているように見ても、少しでも水分に汚染されていればレジンと歯の境目から再び細菌による感染が起きて再びう蝕(虫歯)になったり、レジンが取れてしまうこともよくあります。

問題点3 乳歯ならではの問題がある

乳歯と永久歯の構造のちがいの模式図

乳歯は永久歯(大人の歯)と比べ、歯自体が小さく、エナメル質と言われる非常に硬い部分も薄く『う蝕(虫歯)になると進行が非常に早いです』
その上、『神経の大きさは永久歯とほぼ変わらない』ため、すぐに歯の神経の治療(根管治療)になってしまいやすいのです。

そして、前回のコラム(根管治療について)で書いた通り、根管治療は成人に対してもきちんとした環境で治療を行う歯科医院は残念ながら多くありません。
仮にきちんとした環境を用意したとしても、長時間お口を開けてじっと歯の治療に耐えること自体お子様には非常に困難です。

 

いかがでしょうか?
親御様によっては少しショックな話もあったかもしれません。

それで、結局はどうすれば良いの?というお声もあるはずですので、
最後にそれを書いていきます。

 

お子様の歯を守るためにできること

三好歯科 自由が丘の小児歯科 子どもが歯みがきしている画像

● 乳歯は生え変わるから大丈夫・・・と考えない

これはとても多いのですが、最悪乳歯は生え変わるから永久歯から大事にすれば・・・と親御様が考えてしまうケースがあります。
確かに生え変わりますが、リセットボタンを押しているわけではありません。
ちょっとずつ永久歯に生え変わるので、乳歯に虫歯の細菌がいれば感染のリスクも上がりますし、乳歯の時に虫歯が多い子は永久歯でもやはり虫歯が多くなることはデータで出ております。

大切なのは『今』です。
今から少しずつでも親御様が意識を変えていくことが将来のお子様の歯の健康や歯への意識を確実に変えます。

● 親御様ご自身の歯の健康を諦めない

これも非常に多いのですが、自分は良いから子どもだけは・・・とご自身の歯科治療を二の次に考える親御様がいらっしゃいます。
お気持ちは分かりますが、お子様の虫歯や歯周病の原因菌への感染はほぼ100%親御様からです。つまり、一緒に生活をしている方の口腔内の状態はお子様に必ず影響します。
また、お子様は親御様を誰よりも見ています。
親御様の日頃の歯への考え方や歯科との関わり方はお子様にも受け継がれていくことが多いです。
親子で意識を変える!という考え方が一番正しく、三好歯科 自由が丘では
親御様が意識を変えることが、最もお子様の歯を守ることに繋がると言っても過言ではありません。

最後に・・・

● お子様の成長を焦らず見守ってあげる事

初めての歯医者で上手に振舞える子などいません。
三好歯科 自由が丘で一番重要視していることは、
まず、
・歯医者に慣れてもらうこと
・歯を自分から上手に見せられるようにすること
・触られても嫌がらないようにすること

その後、
・汚れを染め出して親子揃って歯ブラシのクオリティをみてもらう
・どのようにすればしっかりと歯をみがけるかをお子様にも親御様にもお伝えする
・定期的に歯医者に通うことの重要性を理解していただく
そして、
・日々の歯ブラシ、お子様の成長、歯の生え変わり、歯並びなど様々なことをたくさんお話しながらメンテナンスをしていく

事が目標です。

大切なことは歯を治療することではなく、いざ治療になってしまっても対応できるように歯医者に慣れておくこと、そしてお子様、親御様、歯科医院の三者で予防をしていくことです。

このコラムを読んでくださった方々に、改めて自分とお子様の歯のことを少しでも考えていただければ幸いです。

三好歯科 自由が丘の「小児歯科・マタニティ歯科診療」

のページも是非ご参照ください。

 

 


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